Sunday, February 2, 2014

2014年 春学期の授業

今学期の授業として私は5つの授業を履修している。1つ目は開発経済学。元世界銀行チーフエコノミストの教授との少人数、約15人程のセミナーの授業。そして2つ目はUCLAのビジネススクールで博士課程を卒業したばかりのチリ人の教授が教えるコーポレイト・ファイナンス。さらに3つ目は天体物理学者が教える科学の限界そして不確実性についての授業。4つ目は統計学。また最後は初級2中国語。合計5つの授業を今学期履修する事にした。今学期の私のテーマは、(主に経済)のモデルについて少しかじってみる事である。もちろん専門的な事を理解するのは困難であるが、それでも開発経済学の授業で扱う発展途上国の経済成長を予測するモデルの概念、そして限界について学べれば良いなと思っている。そういう意味で科学の限界と不確実性についての授業や統計学と関わりがあり、これらの授業を理解する上で良い相乗効果が生み出せればと思っている。
そして前の学期から引き続き、元アブダビ投資庁チーフエコノミスト(去年の夏にインターンをした時はまだ働いたが、今は退職し現在アブダビ校で教授をしている)の下で石油市場調査を行っている。去年の11月初旬に始めたこの調査であるが、思いのほか難航している。やはりそれは石油の価格は様々な要因に影響され、それらの要因がどう変動するのか予測するのが非常に困難であるからであるが、それに加え、欲しい情報を手に入れるのに非常に苦労するから時間が掛かってしまうのである。大学には投資銀行のトレーダーなどが使っているというBloomberg Terminalがあり、私たちの情報収集の効率化に一役買っているがそれでも見つからない情報は多く有る。今後教授と色々協議して、何とかレポートを終わらせねばならない。ここ数ヶ月、この事が私の悩みの種だ。本当は12月中旬に終わらせるつもりであったのが、今や2月までもつれ込み、教授に申し訳ないばかりである。冬休みにルームメイトのウクライナ人とウクライナにスキーに行き、ゲレンデを滑っていた際にもふと「あ、石油市場調査しないと」っと脳裏に浮かんだり、時々夢にも出来たぐらいなので少しばかりはこの事についてストレスを感じているようだ。しかし何もこの石油市場調査だけではなく、去年はコンピューターサイエンスの課題などに追われ週末もパソコンと一日中にらめっこという日々も多く、常にプレッシャーを感じていたのでもう慣れている。勉強量としては確かに慶應にいた時に比べ格段に上がり、日々より勉強面において多くのプレッシャーを感じるようになったが不思議とあまり苦ではない。むしろ慶應にいた時の、大教室での講義に参加し自分があまり学んでいないと感じたような事がなくなり、焦燥感が減ったので心理的には楽になったぐらいだ。それに加えて純粋に学ぶ事が楽しいというのもあるし、あらゆる面で自分の成長を感じる事ができているから充実してる。

私はアブダビ校で様々な事を学んでいるが、それができている一つ大きな理由は多くの優れた教授陣と接する事ができているからである。私が履修してきた授業を担当した教授の多くは研究・学問において優秀な成果を収めているだけではなく人間的にも非常に好感を持てる方が多い。例えば前の学期に履修した宗教の教授は廊下ですれ違う度、「やーシンタロー!Good to see you. 調子はどうだい?」と話しかけてくれ、さらにオフィスに行くと授業に関係のない私のキャリアについても相談に乗ってくれる。
また、その元アブダビ投資庁チーフエコノミストの教授も非常に好感を持てる。ご存知かどうかわからないが、アブダビ投資庁はアラブ首長国連邦が稼いだいわゆるオイルマネーを運用する国営ファンドで、世界最大級の政府系ファンドだ。そしてその教授は数年前までアメリカのGeneral Motorsでチーフエコノミストをしていた人物である。そのようなバックグラウンドの持ち主なのにも関わらず、教授は自身の経歴について非常に謙虚だ。また、いつも親身になって学生の話に耳を傾けてくれ、忙しいであろうスケジュールの中で時間を割いてくれる。12月などは平日・週末関係なく毎晩のように夜10時ぐらいからミーティングを行った。また、彼の身だしなみは驚くほど簡素である。長ズボンにごく一般的な長袖のシャツ。他の教授から比較しても服装は地味であり、何十兆円を動かすファンドでチーフエコノミストをしていた人物とは思えない。そんな謙虚な教授であるが、彼が面白いと思う点については驚くほど貪欲である。例えば中国政府が行っているガソリンの助成金について簡単に発表した時には私以上に喜び文字通り飛んで興奮していた。
そんな教授らから学問の面だけではなく、人間性の面からも学ぶ事は多い。アブダビ校に来て思った点は、教授としてまたビジネスマンとして成功している人は人一倍謙虚であり、人間として魅力がある。これはたまたま成功していて謙虚な方が教授になっているのか、(もちろん能力が優れているなど多くの点があると思うが)人間としても魅力があるから成功する事ができたのかわからない。しかしこうして多方面において魅力のある教授と少人数の授業を受ける事ができるのが、アブダビ校の魅力の1つである。入門クラス1クラス15人ほど、上級のクラスになると1クラス5〜6人というのも多くある。そのような恵まれた環境を充分に活用できるよう今学期も頑張りたい!



(写真はこの投稿を書いている最中に撮った仮設キャンパスの写真)

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