Saturday, February 8, 2014

グループワークから学んだ事 − 共有する勇気


先日のブログポストで書いたSheikh Abdulazizが仰った言葉の中で特に感銘を受けた言葉がある。それは “If you want to go fast go alone, but if you want to go far let’s go together” ( どこかへ速く行きたいのなら一人で行け、ただ遠くまだ行きたいのなら一緒に行こう)というものである。この格言を仰った時、 私は仲間と一緒に砂漠を彷徨っている光景を思い浮かべた。キャンプに行ったのが迷ってしまい見渡す限り砂漠が広がっている光景である。そんな中、確かに仮に仲間と分かれて一人で歩き出した方が速く歩けるかもしれない。しかしそれでは、途中でサソリにかまれたり、足首を捻ったり、気力が萎えた時に助けてくる仲間がおらず結局は遠くまで行けないというのがSheikhの格言の意味であると私は解釈した。このように仲間と一緒に物事に取り組んだ方が、一見非効率に見えるかもしれないが最終的にはより良い結果をもたらす事になるというのは最近良く感じる。
それは慶應に在籍していた時も授業でグループワークやプレゼンテーションをする事はあったがアブダビ校では特にグループワークが多いからであろう。経済学の宿題の中で一人では解く事のできない難問を友達と一緒に取り組んだり、学生複数人と教授でコンピュータサイエンスの論文を書いたりと共同で何かに取り組むという機会が増えた。
量が増えただけではない。アブダビ校に来る前に経験したグループワークとアブダビ校でのグループワークでは大きな違いがある。それを行う動機である。今までは私にとってグループワークというのは先生や教授が授業内容の一環としてグループワークをしなさいと指示をされたからするものだった。多くの場合、何か歴史上の出来事や何かの業界について与えられた課題に関して調べてクラスで発表するなど一人でも出来る作業を単純に複数人で分担しているにすぎないという側面が多かった。しかし私が経験しているアブダビ校でのグループワークの多くは 学生が自発的に集まり各々知恵を絞り強みを活かし相乗効果を生み出すという側面が強い気がする。それは与えられた問題を解くなり、課題をこなすために一人で取り組みより効率的だし最終的に質の良いものを作ることができると多くの学生が思っているからであろうし、何よりグループワークに多くの学生が慣れているからであろうと私は思う。現に私も数時間後に開発経済学のモデルをエクセルでつくる宿題を一緒にするため一緒に授業をとっている学生二人と集まる予定である。

グループワークを通して、学んだ事はグループワークを成功させるためには仮に手柄を立てても奢らず謙虚にチームメイトにあらゆるものを共有する事が重要であるという事だ。例えば何か問題の解法あるいは答えをチームの中で自分だけがわかったとする。 それを奢らず丁寧に他の学生のために説明する。宿題の答えぐらいであったら大した事ないはないかもしれない。 しかし自分が数日間掛けて考え抜いたアイディアや連日徹夜して完成させたプログラムを何の見返りもなく他の人に教えるのには勇気と自信がいる。奢らず謙虚に苦労して手にした果実を共有するのに多くの人は躊躇するものであると思う。仮に共有することがチームにとっても他の学生にとっても良い事だと頭でわかっていても自分が苦労した分だけ人に情報や自分の成果を共有したくないものではないだろうか。奢らず謙虚に他の学生にオープンに共有するためには、勇気が必要だし自分に対して多大なる自信が必要である。しかし、この学校にはそのような事をする学生がいる。例えばコンピュータサイエンスを専攻している友人である。彼はコンピュータサイエンスの授業で既存のアルゴリズム(解法)より優れたものを発見し、国際的な学会発表できるレベルのものを発明した。本来なら彼一人の手柄なのだが、なんと他の学生を集め一緒に論文執筆やさらなる研究をしようと言い出した。アルゴリズムを考える上で他の学生と議論をし、一緒に試行錯誤したとはいえ最終的にそのアルゴリズムを考えついたのは彼である。仮にこの友人が、自分が発明したアルゴリズムなのだから自分の手柄だと主張し自分だけで論文を発表しても誰も何も言わなかったであろう。それを敢えて他の学生にも自分の成果を分け与えたのには脱帽する。そんな彼は我々のコンピュータサイエンスの授業のロールモデルであり、授業(そして彼は授業外でも様々な活動をしており)・学校においてチームワークを重要視する雰囲気をつくるのに一役買っている。この友人は心からSheikhの格言を理解し実践しているように私は思う。彼は一人で自分の成果を独占するよりみんなでそれを共有した方が最終的にはより良いものを作るができるしチームにとって良いことだと確信していたと思う。素晴らしい人間性の持ち主であり是非見習いたい。
砂漠に関連してアブダビの文化村を訪れた時の写真

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